冬のしたく

ヤマシタケンタ

2011年08月18日 09:02



この部屋にはアリがよく訪れるんだけど、どこかにアリの巣でもあるのだろうか。

ずかずかと私の作業スペースに入り込み、今日もMacの横で行列をつくっている。

そして、彼らは彼らにしかわからない匂い?を出しているらしいが、

そんなもの僕には見えない。

気がつくと、

朝から読もうと思っていた「幸福をみつめるコピー」の上に何のコトワリもなく通り道をつくる。

自分に与えられた仕事をしている。冬に向けての準備をしている。

この暑い夏からずっと、冬に向けて準備をしている。

そして、そこには境界が存在していないかのようにみえる。

本当はアリの世界にも

立ち入っては行けない場所みたいなものがあるのかもしれないけれど、

そんなこと僕にはわからない。

僕らはいつだって準備をしている。

アリが冬に向けて準備をするように、僕らはいつだって準備をしている。

老後の心配をしている者もいれば、

受験勉強で塾に通う若者、就職活動で路頭に迷う学生、

あるいは恋をして、結婚をして、葬式の準備をする。

僕らは、いつだって未来への準備をしている。


今日もずかずかと、私のところへやってきて

見えないものを頼りに、せっせと働いている。

そんなアリを眺めて、ぼんやりそんなことを考えた。

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